経済成長と共に自律的に
社会課題が解決される社会の実現

インパクト起点の事業開発

インパクト起点の事業開発とは

インパクト起点の事業設計とは、事業を通じて社会・環境課題を解決することを意図した事業の設計開発を指します。通常の新規事業立ち上げや事業開発と同様、市場動向・自社と競合他社の強みや弱み・財務分析をすると同時に、正のインパクトの増大、負のインパクトの低減、またはその両方を実現する設計を目指します。

ここでは、正負のインパクトは以下のように定義します。尚、各企業が既に出しているインパクトにより、正のインパクトの増大になるか、負のインパクトの低減に繋がるか、変わるため注意が必要です。例えば、同じ「森林管理」という活動においても、森林管理計画の立案や持続可能な森林管理のために、人工知能と衛星画像を用いて、森林の健康状態を評価し、実践を支援している企業は、正のインパクトの増大に貢献しています。他方で、事業活動として森林伐採を行っている企業が、持続可能な森林管理に取り組むことは負のインパクトの低減になります。

正のインパクトを増やす事業開発

「正のインパクトを増やす」視点は、0→1のフェーズにも、10→100のフェーズにも活用できます。例えば、0→1フェーズの場合、創出したい社会的インパクトに対し、自社の有形・無形の資産や強みを紐づけることで、新規事業の可能性が見えてきます。このフェーズからインパクト起点があれば、より一貫したプロダクト設計、マーケティング、KPI設計が可能になります。

10→100フェーズの場合、既存のビジネスのアウトプット(商品・サービス)を踏まえ、よりニーズのある顧客を開拓する、もしくはその新規顧客に商品・プロダクトを提供するための手段を開発することで、事業をより成長させる機会が生まれます。例えば、生徒の欠席率の低下を実現するために、家族と学校間の連絡システムを構築していたスタートアップは、この課題と関連性の高い「放課後活動」に着目し、必要なニーズに対応できるようにサービスに改良することで市場を拡大しました。

負のインパクトを減らす事業開発

「負のインパクトを減らす」視点は、0→1フェーズよりも、10→100フェーズへの適性がより高いと考えられます。事業を通じた社会・環境への負荷を軽減したいと考えている企業は、(創出したいアウトカムに基づき、)事業のバリューチェーンや自社の組織運営を見直すことで、同じ財務リターンを維持しながら、事業が生み出す負のインパクト低減を実現できます。さらに、サプライチェーンの強靭化、生産プロセスの効率化、製品設計の改善など、「負のインパクトを減らしたい」という動機から大小のイノベーションが生まれる可能性もあります。場合によっては、材料費、水光熱費、輸送費、採用費等のコスト削減にも繋がり得ます。

インパクト起点の事業開発のメリット

インパクトを起点に、社会課題や環境課題を解決するために事業を設計することによるメリットは大きく3つあります。

  • イノベーションを促進する

インパクト起点の事業は、実は世の中に多く存在し、イノベーションのきっかけになっています。例えば二酸化炭素排出量を大きく減らす電気自動車、資源の有効活用のためにモノやサービスを共有するシェアエコノミー、プラスチックの使用量削減を目的としたリユース可能な梱包材の開発、等があります。このイノベーションが新たな市場開拓のみならず、コストの削減に繋がることもあります。

  • 持続的な企業成長を実現する

インパクトを起点とした事業設計は、通常の事業開発において検討する要素に加え、長期的な社会課題を考慮するため、変化する事業環境やニーズに適応した、レジリエンスの高いビジネスに繋がります。政府や業界団体は、環境や社会に害を与えうるビジネスの取り締まりのために規制を常に進化させています。現時点でビジネスが成立していても、長期的には国内の規制に適応するためにビジネスモデルを大きく変える必要が発生するリスクもあります。レジリエンスの高いビジネスは長期的なリスクの低減のみならず、会社に対する信頼の構築にも繋がり、持続的な企業成長を後押しします。

  • 他社と差別化し、ブランディングできる

インパクトを起点とする事業設計は競合他社と差別化する要素に活用できます。差別化したことにより、売上の向上やコストの削減が見込めます。例えば大手企業が取引先を選定する際に、環境負荷が少ない事例や労働者の人権を尊重している企業を選定基準として考慮する事例が増えており、取り組んでいる企業の方が選定され、売上向上に繋がる可能性があります。また、採用活動においてより多く優秀な人材を惹きつけるメリットがあります。特にGenZ世代がSDGs、ESG等の課題に興味を多く持っています。

支援の流れ

GLINは各社の創出したい価値、自社の強み・弱み、外部環境の中長期変化をもとに事業開発を支援します。支援期間は各社の状況によりますが、目安としては半年から1年間になります。各社のニーズや状況を踏まえ、支援内容をカスタマイズします。