経済成長と共に自律的に
社会課題が解決される社会の実現

インパクト投資戦略策定・エグゼキューション支援

インパクト投資が飛躍的に拡大

 昨今、日本では「インパクト投資」が社会課題解決の手段として注目を集めています。インパクト投資はこれまで官民連携の文脈で語られてきましたが、特に2022年と2023年に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)」での重要施策としての位置づけが大きな契機となりました。現在、関係省庁による検討会の開催や、金融庁による「インパクト投資(インパクトファイナンス)に関する基本的指針」の策定が進んでいます。また、民間企業の動きも活発で、2024年3月時点でインパクト志向金融宣言に署名した企業は75社を超えています。現にインパクト投資の残高は2023年度に11兆5,414億円に達し、前年度から5兆6,943億円(197%)増加しています。

参照:『日本におけるインパクト投資の現状と課題 2023年度調査』 (一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)発行/GSG国内諮問委員会 監督)よりGLIN作成

このような状況下、これまでにESG投資やSDGs等、サステナビリティ関連の投資を行ってきた金融機関、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)含むベンチャーキャピタル、プライベートエクイティ等で、これから非上場向けインパクト投資を行っていきたい、とお考えの機関もいらっしゃるのではないでしょうか。GLIN Impact Capitalでは、日本国内第一のインパクト投資を行うベンチャーキャピタルとしてのノウハウ・経験を活かし、主に非上場向けインパクト投資ファンドの支援も行っています。

インパクト投資とは

「インパクト投資」とは、そもそもなんでしょうか。

 一般にインパクト投資は、「財務的リターンと並行して、ポジティブで測定可能な社会的及び環境的インパクトを同時に生み出すことを意図する投資行動を指す」と定義1されます。従来の投資においては、リスク・リターンの2軸が判断に用いられてきましたが、インパクト投資では、社会・環境への「インパクト」を第3軸として取り入れ、事業や活動の成果として生じる社会的・環境的な変化や効果を把握し、社会的なリターンと財務的なリターンの双方を両立させることを意図します。

2024年3月に公開された、金融庁の「インパクト投資(インパクトファイナンス)に関する基本的指針」では、インパクト投資の基本的要素として①実現を「意図」する「社会・環境的効果」が明確であること(intention)、②投資の実施により、効果の実現に貢献すること(contribution)、③基本的要素3:効果の「特定・測定・管理」を行うこと(identification /measurement / management)及び④基本的要素4:市場や顧客に変革をもたらし又は加速し得るよう支援すること(innovation/transformation/acceleration) と示されました。

インパクト投資とファンド運営

より具体的に、ファンド運営上のフローに則って、インパクト投資と通常の投資の違いを示しましょう。一般的なファンド運営は、ファンド募集、ソーシング、投資実行、経営支援、エグジット、ファンド分配のフローを辿ります。

まず、インパクト投資であっても、一般的なファンド運営とフローは大きくは変わりません。一般的なファンド運営と同じフローを辿ることが多くあります。他方で投資によるインパクト創出を意識した場合には、特別に対応・考慮すべきと考えられる点も存在します。

以下は、国際金融公社のOperating Principles for Impact Investingが作成した投資家がインパクト管理システムを設計および実装するためのフレームワーク「9つの運用原則」です。このフレームワークに照らせば、意図したインパクトの創出のため、投資ライフサイクル全体にわたってインパクトに関する考慮事項が確実に統合されるようにすることが望まれます。

参照:「インパクトを追求する投資:
インパクト投資の運用原則(参考和訳)」https://www.env.go.jp/content/900515546.pdf

運用原則に則ってインパクト投資を行う場合、中でも特徴的なのは、ファンド募集、ソーシング・投資実行、経営支援の段階と考えられます。より具体的には以下のような動作が求められると解釈できます。

1.ァンド設計・募集

投資を通じてどのようなインパクトを創出したいか、どの程度のリターンを求めるか等、ファンドの方針を策定します。SDGs等の国際的に認知されたフレームワークや、VCであればパーパス、CVCであれば母体となる事業会社のマテリアリティ等の組織の戦略を基に検討します。複数のインパクトを同時に追求する場合、社会課題間の相互影響や因果関係を表す「課題マップ」を作成して開示することも有用です。また、ポートフォリオ単位でのインパクトの管理体制等、組織の体制面での検討も必要となります。こうした検討を行うことで、後のプロセスでソーシングや経営支援を行う際にも、投資先候補企業のフィルタリングや投資先の創出したインパクトの評価に活用可能と考えられます。

2.ソーシング

 策定した方針や戦略に合致した投資候補先をソーシングします。

3.投資実行

インパクト投資では、ソーシング・投資検討時にインパクトデュー・デリジェンス(DD)を行い、投資候補先の事業によって創出されるインパクトの評価を行います。ファンドごとにDDの観点や手法は異なりますが、一般に、インパクトDDでは、Theory of Changeや5 Dimensions of impact などのフレームワークを用い、投資先候補企業の意図やインパクト創出における期待値等を特定していきます。
例えばGLINでは、4つの観点で投資により期待される社会的価値のリターンを評価します。

① Intentionality(意図):どのような社会課題の解決・社会的インパクトの創出を意図しているか
② Product-Impact Fit(目的と手段の一致):解決したい社会課題、創出したいインパクトに対して、提供するプロダクト(製品・サービス)が一致・貢献しているか
③ Additionality(追加性):そのビジネスが存在することによって生まれている追加的なインパクトがあるか
④ Measureability(測定可能性):そのインパクトは定量的に測定可能か

またインパクト投資では、ネガティブなインパクトについても評価し適切な対処をしていくことが望まれており、事業によるネガティブなインパクトに焦点を充てたESG DDも実施することで、投資候補先企業の創出するインパクトを総合的に捕捉することが可能です。

4.経営支援・エグジット

インパクト投資では、投資実行後、インパクトの測定・マネジメント(Impact Measurement & Management)が必要です。投資実行前に特定したゴール、期待値どおりにインパクトが創出されるよう、投資先とのコミュニケーションをとりながらKPIを設定し、定期的なモニタリングを行うことが望まれます。これらの取組みは、エグジットに向けた準備を長期視点で行うことでもあります。エグジットの価値を最大化するために、事業を通じて創出する正のインパクトの拡大、負のインパクトの最小化を目指し、必要に応じサステナビリティ(リスク管理・守り)の対応も行います。

支援の流れ

GLIN Impact Capitalでは、国内第一世代のインパクトスタートアップ投資事業を併せ持ち、経験とナレッジに基づく、上記フローへの一貫した伴走ご支援が可能です。また、ファンド戦略・投資方針の立案などの上流部分の支援、インパクトDDの実施、投資先への経営支援・エグジット準備の場層支援等、ご支援の内容はご要望に応じてカスタマイズいたします。

インパクト投資の実施手法等、日々アップデートがされており、上でご紹介した指針も一例です。GLIN Impact Capitalでは、各種のインパクト投資のネットワークに参加をしており、最新の動向に基づくご支援が可能です。是非お気軽にご相談ください。


ご参考

  1. GSG国内諮問委員会「インパクト投資とは」https://impactinvestment.jp/impact-investing/about.html より引用 ↩︎